小児・乳児の心肺蘇生
心肺蘇生は、基本的には大人でも子どもでも同じです。正確な心肺蘇生をすることが望ましいですが、胸骨圧迫だけでも、人工呼吸だけもかまいません。うまく出来なくても、勇気をもって何かをしてあげることが、子どもを助けるには重要です。
子どもへの心肺蘇生
1歳未満を乳児(赤ちゃん)とし、1歳から思春期以前(およそ中学生まで)を小児(子供)とします。心肺蘇生は、大人と同様に、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返して行います。
胸骨圧迫
子どもでは胸の厚みの1/3を目安として、十分に胸が沈み込む程度に胸の真ん中、胸骨の下半分をしっかり圧迫して下さい。
赤ちゃんの場合には、図のように指2本を使って胸を圧迫して下さい。
押す場所は大人と同じ胸の真ん中です。
ただし、赤ちゃん(1歳未満)に人工呼吸をする場合は、図のように赤ちゃんの口と鼻をまとめて自分の口に含んで息を吹き込んで下さい。
AED
AEDが使える場合は、AEDを子どもの胸に貼ります。小児用パッドがある場合はそれを用いますが、なければ大人用でも構いません。貼り方は電極パッドの絵のとおりですが、電極パッド同士が重ならないようにして下さい。
窒息の対処法
気道異物とその症状
窒息とは、食べ物などがのどに詰まって息が出来なくなってしまう状態です。時には死に至ることもあり、適切な対処が必要です。
のどに物が詰まった場合、顔色が悪くなる、声を出せない、息が出来ない、などの症状があります。親指と人差し指でのどをつかむという「窒息のサイン」を示すことがあります。これらの症状がある人には窒息を疑ってすぐさま対応することが重要です。
窒息のサイン
気道異物の対処法(反応がある場合)
周りに人がいる場合は119番通報を依頼します。救助者が1人ならば、腹部突き上げ法や背部叩打(こうだ)法を試みます。咳で異物が出てくることもありますが、出てこない場合は異物を出すことを試みます。
腹部突き上げ法:背後から抱きかかえるようにして、おへそのすぐ上、みぞおちより十分下方を、すばやく手前うえ側に圧迫するように突き上げます。
腹部突き上げ法
背部叩打(こうだ)法:のどを詰まらせた人の背中、肩甲骨の間を強く何度も叩く方法です。 成人では腹部突き上げ法を優先します。妊婦や子どもには、腹部突き上げ法は行わず、背部叩打(こうだ)法を行います。
背部叩打(こうだ)法 |
背部叩打(こうだ)法 |
気道異物の対処法(反応がない場合)
反応がなくなった場合は、ただちに心停止に対する心肺蘇生の手順を開始します。心肺蘇生の途中で口の中に異物が見えた場合は異物を取り除きます。異物を探すために胸骨圧迫を中断しないで下さい。